失敗しない理想の剪定


庭の維持には、失敗するパターンが大きく分けて2つあります。1つめは、大きな木は手に負えないという不安から、木を小さく切ってしまうこと。2つめは、透かし剪定にかかる負担のせいで、定期的な管理をしなくなること。

1つめの失敗、木を小さくしすぎてしまうこと。なぜそれがダメかというと、切られた木は、反抗して暴れる枝を出すか、あきらめて自ら枝を枯らせるか、そのどちらかになるからです。暴れる枝というのは元気すぎて調和を乱し、切る前よりかえって醜くなります。元気すぎる枝を出さない場合は弱ってしまう。部分的に、あるいは全部が枯れてしまうこともあります。

2つめの失敗、大きな木のそれぞれの枝にキレイすぎる透かし剪定をしてしまうこと。なぜそれがダメかというと、高額な費用がかかることと、自然のままの素朴な味わいを損なうからです。透かし剪定による人工的な仕上がりは、森の木もれ陽とは違います。そして夏に樹皮が日焼けしてしまう弊害もあります。私の考えは、透かそうと思って剪定するべきではなく、剪定した結果として自然に枝が透けるのが良いのです。

  高さの決定

ある程度の高さは必要です。極端に低くしてしまうと、元の高さに戻ろうと木が勢いよく強い枝を伸ばします。強い枝は樹形を乱し、結局その後でまた切るということを繰り返します。(強く切る、乱れる、また強く切る、乱れる、また強く切る)という具合です。どんどん高くなってしまうのでは?と不安になるかもしれませんが、ほとんどの庭木が、ある程度の高さで落ち着くものなので、心配はいりません。適度な高さを残しつつ維持していくことが、結局一番穏やかに管理できるのです。


  スリム化

広い広い敷地の真ん中に、庭木が1本ある、という場合なら、スリム化は必要ありません。しかし、庭には隣り合った樹木があるもの。それぞれを分離させ、それぞれをスリム化させる必要があります。樹木は放っておけば縦横比が、1対1程度になっていきます。それが庭木全部になれば全部がくっつき絡みあってしまします。そうならないために1本の縦横比を3対1から4対1くらいにします。そうすれば沢山の庭木が同居しながら分離し、木もれ陽が差し込むようになるのです。これは樹木の生理のためにも良いことです。樹木は先ず上に伸びようとします。横は、その後。なので横に出る枝を抑えるのは、樹木にとってストレスが少ないのです。


  枝の世代交代

毎回同じところで切って、まったく同じ形にそろえる剪定というのは、樹木そのものの美しさを損なっていきます。剪定の切り口というのは、なるべく見えない、わからないほうがいい。剪定したぞ!ということが分からないほうが良いのです。

(伸びる、その分を切る、伸びる、その分を切る)という繰り返しではなく、(新芽を小枝に育てる、古い外側の枝を育った小枝より内側で切る、小枝が伸びる間に次の新芽を小枝に育てる)というサイクルで剪定します。このサイクルは、全てが同時進行であり、区切りのない並列進行です。1本の庭木のなかで、育てている新芽と小枝が沢山あり、古くなった外側の枝を切って役目を終える。木の大きさの範囲の中で、世代交代を常に起こしながら切っていくということです。

それが樹木そのものの美しさを残しつつ維持する剪定方法です。


  適度な加減

以上のことをふまえつつ、庭という限られた敷地範囲のなかに「枝たち」を治めて管理していきます。荒っぽすぎず(切りすぎず)細かすぎず(手をかけすぎず)という加減によって、適度な日差しと風を呼ぶ。暖かい木もれ陽、涼しい木陰。そんな庭が私は好きです。

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